《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第5章 女王様への黄色い嫉妬(※十四松)
トド松先輩を見送ると、チョロ松警部が泣き出しそうな顔で振り返った。
「ゆりくん、他人のセリフでなんだけどさ……僕、なぜか寂しさで心臓がキュッてなるんだけど……」
「奇遇ですね、警部。私もです」
「ううう、死ねばいいのよ! ホント1回死ねばいいのよーっ!」
「チョロ松警部! 落ち着いて下さい! 語尾がっ!」
警部はおもむろに床に四つん這いになると尻を出し、ポケットからライターを取り出した。
「あいつのケツ毛燃えろ! いや、もう、自分のケツ毛ぜんっっぶ燃やしてやるっ!」
ライターを尻に近づける。
「ちょっ! 警部! だめですっ! 危ないからっ! ライターしまって下さい!」
チョロ松警部はピタリと動きを止めると、私を見上げた。
「じゃあ、ゆりくん、ライターしまうから、もう少し残業していってくれる?」
「いえ、帰ります」
「え、帰るんだ……」
「はい。チョロ松警部、お疲れ様でした〜」
「…………」
呆然とライターを構えるチョロ松警部を残し、私は鑑識課へと急いだ。
もう、警部のケツ毛のせいで、遅くなっちゃった。
十四松さん、待ちくたびれているんじゃ……。
鑑識課の部屋のドアに手をかけた時、中から十四松さんの「ヴォエッ!」という叫び声が聞こえた。
え、何?
手を止め、ドアの隙間からそっと中を覗いてみる。
警察署内のアイドル、交通課のトト子警察官が腕を組んで立っているのが見えた。