《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第5章 女王様への黄色い嫉妬(※十四松)
***
午後6時。
チョロ松警部は、まだデスクで仕事をしている。
帰るって言い辛いな。
十四松さん、もう待ってるかも。
急がないと……。
横目でタイミングを伺っていると、トド松先輩が立ち上がった。
「僕、今日はジムに行くから、もう上がりますね」
チャンス!
「じゃあ、私も帰ります!」
待ってました、とばかりに鞄を引っ掴んで立ち上がる。
チョロ松警部が顔を上げた。
「うん、二人ともお疲れ様。でも、トド松くんってジムに通ってたの? 全然知らなかったよ。ゆりくんは知ってた?」
「私も知らなかったです。もう、先輩てば! 聞いてないですよ〜?」
「言ってないからね」
トド松先輩は、スマホを弄りながら答えた。
冷たい風が通り抜けていった気がした。
「えっと……あ、そうなんですか……」
「別にわざわざ職場で言うことでもないし」
「「…………」」
私もチョロ松警部も押し黙る。
「ん、二人ともどうしたの?」
トド松先輩が手を止め、顔を上げた。
「あ、いや、何でもないよ……。ね、ゆりくん?」
無表情のチョロ松警部が、ロボットのような抑揚のない声で返す。
「ええ、何でもないです。お疲れ様です、トド松先輩……」
私も無表情で答えた。