《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第25章 一松END〜庭師とわたし〜(※)
「シェー! 小娘のくせにすっかり手慣れて! 騙されたザンス! 国家権力の乱用ザンス!」
捜査員に引っ張られ、ワーワー大騒ぎしながらパトカーに乗せられるイヤミさん。
「はあっ、全くもう懲りないんだから……」
いい加減、悪いことをやめればいいのに。
こっちだって、工場の捜査にはうんざりしている。
私は呆れながら工場の中に入った。
各部屋では、捜査員たちが次々とダンボールに書類や証拠品を入れていく。
作業をする捜査員たちを横目に、製造室に向かって歩いていると、影からすっと手が伸びてきた。
「きゃっ!?」
突然強く引っ張られ、転びそうになる。
振り返ると、よく知っているあの顔。
「一松さん!?」
不気味な笑みを浮かべ、一松さんが手を掴んでいた。
相変わらず汚れてヨロヨロになった作業服。
目の下のクマもすごい。
「おひさ……」
どんよりと見つめてくる一松さん。
「一松さん、元気にしてました?」
「あんた、これが元気そうに見える……?」
「いえ、今日も疲れてるように見えるかな……」
一松さんは汚れた作業服でニヤリと笑う。
「そう……ブラック工場だからね……。でも、疲れてるとムラムラしてきてナニしたくなるわけ……。で、そんなところに今日もタイミングよくゆりが来た」
「え?」
「いいから来て……」
一松さんは強引に私を引っ張り、廊下の奥の小さな部屋に押し込んだ。