《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第24章 チョロ松END〜警部とわたし〜(※)
***
シンプルな八畳一間。
部屋の中を見回すと、ベッドが置いてあり、それなりに片付いている。
カーテンレールに掛かった緑色のパーカー。
本棚にはずらりとたくさんの本が並んでいた。
何気なく本のタイトルを見る。
『部下に好かれる上司になる100の方法』
『なぜ君は女性にモテないのか』
『好きな女に振り向いてもらえない時に読む本』
『部下と一線を越えたいあなたへ』
「…………」
私はそっと本棚を離れた。
何も見なかったことにしよう……。
「ゆりくん、今お茶をいれるから適当に座って」
後ろで警部がトレンチコートを脱ぐ音。
「はい、失礼します。警部の階級ならもっと広いところに余裕で住めるんじゃないですか?」
「いや、一人暮らしならこれで充分だよ。その代わり、結婚相手ができたらゆくゆくは家を建てたいと思っているんだ。子供は二人、学資保険もマストだし、ああ、車も持ちたいしね」
「は、はあ……」
「それに子供に頼りたくはないから、早いうちから高級老人ホームを予約して、老後は夫婦揃って入居しようと考えているよ。もちろん、警察官を引退したらすぐ入るわけではなくて、まずは夫婦で海外旅行をして世界を回るなんていいんじゃないかな」
「そうですか……」
不意打ちのライジングに圧倒されながら後ろを向くと、警部はなぜかパジャマ姿だった。