《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第24章 チョロ松END〜警部とわたし〜(※)
「っ……」
警部が悔しそうに口をつぐむ。
「で? にゃーちゃんは連れてきた? この女と交換ね」
「にゃーちゃんは……渡せない……」
警部が険しい顔で答えた。
「あっそ。じゃあ、この女、殺すけど?」
ナイフがさらに強く首に当てられる。
「待て! 大体、にゃーちゃんを連れていって何をする気だ……」
「決まってんだろ? 殺すんだよ」
まるで大したことでもないと言うように男はさらっと答えた。
「殺すってなぜ!? 彼女に何の恨みがある?」
「あんたもにゃーちゃんのファンなら分かるだろ? 散々、推しに金と時間を使って、結婚されたときの衝撃ったらないね」
「だからって、にゃーちゃんに責任はない! 殺すのは違うだろう!?」
男が面倒くさそうにはぁ〜っと息を吐いた。
「うるせぇな。早く決めろよ。にゃーちゃんを大人しく渡さなきゃ、この女はここで今殺す。さっさと連れてこいよ」
チョロ松警部と目が合った。
悲しそうな困ったような、それでいて優しさに満ちた顔。
何を考えているのかよく分からない。
警部、迷わないで。
にゃーちゃんを渡しては絶対にだめ。
「ゆりくん……」
チョロ松警部の瞳が寂しげに揺れた気がした。