《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第24章 チョロ松END〜警部とわたし〜(※)
気になる?
まさか。
「別に気にはならないですけど」
「なら、そんなにムキになって言わなくてもいいじゃないか」
ムキになったつもりはないけど……。
「それに警部は余計なことも言いすぎです! あの日の話をするなんて! 私が変態だと思われたじゃないですか!」
「本当に変態だから仕方ないだろう」
警部は表情ひとつ変えずに答える。
「何を言ってるんですか! もう忘れてください。私も忘れますから!」
「…………」
警部は私の横顔をじっと見た。
「何ですか?」
視線が気になり、ちらちらと警部に目をやる。
「いや……。ゆりくん、運転中だから、ちゃんと前を向きたまえ」
「はい……」
あの日、とは、トド松先輩を逮捕する前日のこと。
謹慎を受けていた私は、自室のベッドで自慰をしていた。
逃げ出してきたチョロ松警部が私の部屋に忍び込み、なりゆきで自慰を手伝ってくれて、そのままセックスまでしてしまったのだ。
しかも、警部にとってはそれが初めてだった。
この半年、警部とは仲良く仕事をしてきたが、二人の間に微妙な空気があるのも事実だ。
「ゆりくんが忘れろと言うなら、もう忘れよう。この話もしない。すまなかった……」
警部の声。
「…………」
「僕たちは上司と部下だ。それ以上でも以下でもない。君が気まずく思う必要はない。僕も気にせずゆりくんに接するから、君もそうすればいい」
「はい……」
暗い道路に流れる無数のヘッドライト。
そうやってはっきり言われると、それはそれでなんだか傷つくなぁ。
私は前を見ながら、次の言葉を探していた。