《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第4章 ギルトな幽霊は館に潜む
「フッ、気まぐれなヴィーナスの涙に打たれて彷徨いし子羊が、我が愛の城・ラブキャッスルに迷い込んで来たようだな……」
ラ、ラブキャッスル!?
何、そのクソダサいネーミング!?
私は逆さ吊りのまま、辺りを見回した。
声の主は見えない。
「誰……?」
「女性の声か……。なるほど。内なる場所に引きこもっていても、俺の持って生まれし色香は、世の女性たちを惹きつけてやまないらしい……。まさかカラ松ガールが我が館まで訪ねてくるとは、な」
低く通る美声で男性は喋り続ける。
「すまないな、子猫ちゃん。君を愛欲のラビリンスに誘いこんでしまったようだ……。そんなに俺のラブアンドパッションが欲しいのかい? まったく俺はなんて罪深き翼を背負った堕天使・ギルトフォーリンエンジェルなんだ……」
な、何を言っているの!?
いい声だけど、内容が全然頭に入ってこない!
男の声を聞いていると、なぜか私のアバラが音を立てて軋み始めた。鋭い痛みが走る。
まさかこれが噂の呪い……!?
恐怖で声を出しそうになるのを抑えながら、私は目だけを動かし、男の姿を探す。
窓の外で稲光が走り、階段の上に人影が浮かび上がった。
私は不安を掻き消すように叫んだ。
「わ、わ、わわわ、私は警察です! いいいい、今すぐ姿を見せなさいっっ!」