《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第23章 カラ松END〜洋館の主人とわたし〜(※)
出た場所は、時計の文字盤の真ん前。
かなり高い位置にあるため洋館の周りの景色を一望できる。
以前、一松さんが被害にあって時計塔に吊るされていたと言っていたが、たぶんこの場所だろう。
穏やかな初秋の風が吹き、心地よい。
「カラ松さん?」
ゆっくりと歩いていくと、屋根に腰を掛けているカラ松さんを発見した。
ギターを傍らに置き、目を擦ってこちらを振り返る。
「ああ、カラ松ガールか。よくここが分かったな」
カラ松さんの瞳は充血していた。
「泣いていたんですか……?」
驚いて尋ねると、カラ松さんはフッと笑う。
「何か用か?」
私の問いには答えない。
「……夕食できてますよ? 呼びに来ました」
「ああ、今日はいらない」
「ダメです! せっかく作ってもらったのに!」
カラ松さんは不思議そうに私を見上げた。
「ゆりちゃんだって、遅刻しそうになって、朝食を食べなかったときがあったじゃないか」
「うっ……それは……初日でうっかり……。すみません。でも、もう寝坊はしません」
「そうか……」
カラ松さんはふうっと息を吐き、周りを見回した。
「あの、カラ松さん?」
「……子供のときは、よくここにトド松と来たんだ。自分たちだけの秘密基地みたいで楽しくてな」