《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第23章 カラ松END〜洋館の主人とわたし〜(※)
「そうなんですか……」
「母さんも一緒にみんなで隠れんぼしたりもして、よくここに隠れた」
「…………」
「子供のときは家族がいるのが当たり前だと思っていた。でも、気付いたら、母さんは死に、父さんも出て行った。トド松もいなくなり、この家には俺一人だ。今は、この時計塔に出入りするのも俺だけだ……」
秋の夜風が彼の言葉をさらっていく。
私はカラ松さんの隣に座った。
「淋しいですか……?」
「ああ……そうだな……このまま死ぬまでずっと一人でこの洋館に住み続けるのかと思うとゾッとする時がある」
「…………」
「ゆりちゃんも帰りたいんだろう?」
「え?」
カラ松さんは優しい瞳で私を見つめた。
「あと二日で約束の一週間だ。試しに一週間だけ暮らしてみると言ってただろう? どうするんだ? ここで暮らしていけるか?」
「それは……」
確かにここでの暮らしは楽しい。
でも、これでいいんだろうか。
豚に真珠、猫に小判とはよく言ったもので、やはり自分の身の丈に合っていないという違和感は残っている。
何よりカラ松さんとの関係もはっきりしていない状態でここに住み続けることはよくないだろう。