《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第23章 カラ松END〜洋館の主人とわたし〜(※)
来た道を戻り、目的の棟の2階にまで戻る。
緑の絨毯が敷かれた廊下を改めて注意深く歩いてみる。
一番奥の突き当たりに防火扉を備えた階段を見つけた。
「こんなところにも階段があったんだ……」
廊下の端まで来ることなんてなかったから、今まで気にも留めていなかった。
私は迷わず狭い階段を上り始めた。
「カラ松さーん? ここですかー?」
上がっていくにつれ、一定のリズムで時を刻む音が大きくなっていく。
たぶん、ここにいたとしても私の声は聞こえないだろう。
私は急いで階段を上りきった。
時計塔のてっぺん、大きな時計の内側に当たる場所。
大小様々の歯車が噛み合い、ゆっくりと動いている。
足場には幅広い板が数本渡してあるが、板と板の間が広いため、歩くのは少し怖そうだ。
私は辺りを見回した。
カラ松さんはいない。
「やっぱり、ここも違ったかぁ……」
カラ松さんがいると思ったのは、見当違いだったようだ。
戻ろうと階段を降り始めた時、どこからかギターの音が微かに聞こえた気がした。
「カラ松さん……?」
もう一度見回すと、大きな歯車の横に小さな扉があることに気づいた。
時計棟の外に出られる扉のようだ。
ただ、板を渡らないと辿り着けない。
「う〜ん。これ、渡りたくないんだけどなー……」
私は仕方なく下を見ないように気をつけながら、板の上をそろそろと進む。
なんとか落ちずに渡りきると、扉を開けた。
ギターの音が止む。