《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第22章 おそ松END〜なごみ探偵とわたし〜(※)
「おそ松さん……来てくれたんですね……」
私はおそ松さんを見る。
「そりゃ、来るに決まってんじゃん! ゆりちゃんのいるところなら、たとえ火の中水の中、地下室だって、病院だって、どこへだって行きますよぉっと!」
おそ松さんは瓦礫を飛び越え、躊躇することなく、こっちに向かってくる。
「なんなんだ、おい! それ以上、動くな! この女がどうなってもいいのか!?」
慌てたように太い男が私を乱暴に引き寄せる。
おそ松さんはニタ〜ッと笑った。
「ねぇねぇ、こんな廃墟で何してたの? 俺も混ぜてよぉ! ねぇ!」
「だ、だから、こっちに来るなって!」
男が後ろに下がった瞬間、カートにぶつかり、ひっくり返る。
大きな音と共に色とりどりの宝石と絵画が散らばった。
「あっ! これは……!」
私が声を上げると同時に、おそ松さんが大声で笑い出す。
「あはは〜! 転んじゃった! あっはは〜!」
「なっ、何なんだよ、あんた! もう……本当に……迷惑な人だなあ……でも、苛々するどころか、不思議と精神が安定するような……」
太い男が頬を赤らめる。
「ちょ、ちょっと、バカ! 何、和んでるのよ!」
女が怒ったように声を上げた。
おそ松さんがニヤリと笑い、今度は女と細い男の方へ向かう。