《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第22章 おそ松END〜なごみ探偵とわたし〜(※)
私が溜息をついたその時、ガラスが砕け散る音が響いた。
私はハッと顔を上げる。
「なんだ!?」
「待合室の方から音がしたけど!」
「早く!」
男たちが私を引っ張りながら、廊下を走る。
待合室の窓のガラスが砕け、ハンググライダーが突っ込んでいる。
「いってぇ〜カラス邪魔だわ〜」
誰かが起き上がった。
「おそ松さん!? なんで!?」
私は叫ぶ。
「いや〜ごめん、ゆりちゃん! 俺、やっぱかっこいい登場とか無理だわ〜。これが一番! ほら、この小説ももうエンディングだろ? 最後くらい『なごみ探偵』らしく終わりたいもんね〜」
おそ松さんが鼻の下を擦りながら、歩いてくる。
「なっ、なんだ、お前は! こっちに来るな!」
太い男が後退った。
私は耳にタコができるほど聞いたチョロ松警部のあのセリフを呟く。
「彼が来たからにはもう安心……我々刑事の最大の味方、なごみ探偵のおそ松くん……」
「なごみ探偵? はぁ?」
細い男が私とおそ松さんを交互に見る。
「おっ、ゆりちゃん、いいねー! なんだ、ちゃんとセリフ覚えてんじゃん!」
おそ松さんが嬉しそうに笑った。
私は続ける。
「彼が捜査した事件は2000件以上、だが謎を解いたことは一度もない……彼の役目はただ一つ、現場において、ついピリピリしがちな我々刑事の空気を和ませること……!」
「は!? ちょっとあんた、さっきから何言ってんの?」
女が呆れたように突っ込んだ。