《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第4章 ギルトな幽霊は館に潜む
一松さんの部屋に置いてあった白い仮面。
トド松先輩の言葉で思い出した。
ジェイソンの仮面だ。
あの夜、何回も体を重ねた後、「この仮面はどうしたの?」と私が聞くと、一松さんは「クソ松に貰った……」と答えた。
「クソ松?」
「洋館に勤めていた時の雇い主」
「殺人事件で亡くなってしまったカラ松さんという方?」
「うん……『人前で顔を出すのが苦手だ』って俺が言ったら、クソ松が『これをつけて仕事すれば平気だろう』って、仮面をくれた……」
「そうなんだ。カラ松さんて優しい人だったんだね」
「別に……。でも、仮面をつけて庭仕事してたら、素顔晒さないで済むから気は楽だった。まぁ、働きやすい職場だったよ」
「そっか。カラ松さんが亡くなって辛かったでしょう? 残念だったね……」
「…………」
一松さんは、黙ったまま俯いている。
薄い掛け布団の上で組んだ手に、グッと力が入るのが見えた。
「思い出したくない話を聞いちゃってごめんね」
私が謝ると、一松さんは我に返ったように顔を上げた。
「あ……いや、いいんだ、もう。クソ松のことは……」
吐き捨てるように言うと、一松さんはぎこちなく笑った。