《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第20章 謎はあの色で終わる
<ゆりを渡したくない。
一松にも、カラ松兄さんにも、十四松さんにも、他の奴らにも。
一松、お前が憎い。
カラ松兄さんの愛を奪った。
そして、ゆりの心までも奪おうとしている。
チョロ松警部の起訴が決まり、僕は覚悟を決めた。
回りくどい遊びはもうおしまいだ。
殺してやるよ、一松。
一気に蹴りをつけてやる。
手に入らないなら、ゆり、お前もだ。
兄さん、悲しむかな。
大切な一松とずっと探し続けたゆりを両方一遍に失うんだ。
しかも、愛する弟に殺されて。
ねぇ、兄さん、どんな気分?
僕を叱ってくれる?
ねぇ、兄さん。
一松もゆりもいなくなれば、僕だけを見てくれる?
ねぇ、僕はすごいでしょ?
僕のほうが兄さんなんかよりずっとずっと……。
僕は一体何?
僕は「松野カラ松の弟」?
違う、僕は「松野トド松」だよ。
どうして誰も見てくれないの?
僕だって兄さんみたいに……。
ああ、もう分からない、分からない。
僕はどうしたいんだ。
カラ松兄さん、僕を助けてよ……。
その日の夜、僕は工場に忍び込み、一松を誘拐した。
あとは、報道されている通りだ。
僕は失敗し、逮捕された。
反省している、なんて詭弁は使いたくない。
最後に言わせて欲しい。
ゆり……。
僕は君と一緒になりたかった。
君ともっと早く再会していれば。
僕は取り返しのつかないところまで来てしまった。
さよなら、ゆり。
そして、カラ松兄さん>