《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第20章 謎はあの色で終わる
私は、カラ松さんの殺人事件の資料を思い出した。
確かにあの資料では、カラ松さんには兄弟はいなかった。
トド松先輩によって細工されていたのか……。
手記はまだ続く。
<そして、退院してきたカラ松兄さんを僕は洋館の地下室に監禁した。
何でそんなことをしたかって?
何でだろうね。
分からない。
ただ、兄さんを困らせたかった。
兄さんが僕に泣きつく姿を見たかったんだ。
兄さんの本当の家族は僕と父さんだけなんだ。
それを分からせたかった。
でも、兄さんは抵抗することもなく、大人しく僕に監禁されていた。
それがまたとんでもなくムカついた。
「カラ松兄さん、なんで抵抗しないんだよ。なんで逃げないんだよ。監禁だよ? 自由を奪われているんだよ? こんなのおかしいし、理不尽でしょ?」
足枷に繋がれたカラ松兄さんは、フッと笑った。
「ブラザー、お前の望んでいることなら俺は喜んで従う。なぜなら、俺はお前を信じているからな」
僕は、捜査の合間や仕事終わりに館へ様子を見に行き、日用品や食事を届けた。
カラ松兄さんは僕が来るたびに地下室で笑顔で出迎えた。
僕が一人で暮らすマンションに帰る時には「ブラザー、気をつけて帰るんだぞ」と声をかけてきた。
自分は繋がれて一歩も外に出られないのにさ。
自分を監禁している弟のことを心配するんだ。
バカみたいだろ?
僕を恨めよ、兄さん。
僕を嫌ってよ、兄さん。
「トド松、お前には絶望した」
なんでそう言ってくれないんだよ>