《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第20章 謎はあの色で終わる
<正直ショックだった。
カラ松兄さんがこんな最期を迎えるなんて……。
捜査で現場に行ったが、誰も僕が被害者の弟だとは気付いていなかった。
僕も何も言わなかった。
現場で一松に久しぶりに会ったが、彼は僕があのトド松だとは気付かなかった。
家を出てから、かなり経っていたからね。
事件資料も後で書き換え、兄さんの家族欄から僕の名前は消しておいた。
捜査が一通り終わり、従業員全員が解雇され、洋館の権利が僕に移り、さてどうしようかと思っていた時、病院から連絡が入った。
「生死の淵を彷徨っていた松野カラ松さんが一命を取り留めました!」
病室に駆けつけた僕を見るなり、兄さんは開口一番こう言った。
「一松はどうした? 元気にしているか?」
僕の中で何かが音を立てて崩れた。
久しぶりに会う弟よりも、どこの馬の骨かも分からない使用人の心配かよ。
「兄さんが意識を失っていた間に従業員は全員解雇されたよ。一松もね」
「何だって!? じゃあ、身寄りのない一松を放り出したのか?」
「そうだね。今頃どこかで別の仕事をしてるんじゃない?」
カラ松兄さんは黙り込んだ。
兄さん、そんなに一松が大切?
弟の僕よりも?
一松、お前は一体何なんだよ。
僕たち家族の中に土足で入り込んで来やがって。
離れて暮らしていたことで忘れかけていた一松への怒りが、再びふつふつと湧いてきた。
一度、火のついた憎しみはなかなか消えない。
一見忘れたように見えても、心の片隅で実は燻り続けている>