《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第20章 謎はあの色で終わる
紫色のパーカー?
私は手を止めた。
きっと、一松さんのことだ……。
急いで次をめくる。
<その男性は身寄りがなく、空腹の限界で倒れていたようだった。
カラ松兄さんはすぐに彼に食事をさせ、風呂に入らせ、ベッドに寝かせた。
次の日、目を覚ました男性に兄さんは問いかけた。
「お前、行くところが無いのか?」
「…………」
男性は虚ろな目で兄さんを見つめた。
「もし、行くあてがないなら、ここで住み込みで働けばいい。給料は他よりも多く出すし、食事も三食付きだ」
僕は驚いて兄さんを止める。
「ちょっと! カラ松兄さん、本気? いくら父さんがいないからって、勝手に素性の分からない人を雇うなんて。大丈夫なの?」
カラ松兄さんは、自信ありげに頷いた。
「ああ、俺はこいつを信じてるぜ」
こうして、男性は僕らの館で庭師として働くことになった。
「一松」という男だ。
彼は闇人形みたいな暗い性格で、ひどく自虐的だった。
人前に出ることを嫌がったため、兄さんは映画に出てくる仮面のレプリカを彼に渡した。
よほど気に入ったのか、一松は館の中では仮面を被って仕事をするようになった。
仮面の不気味さも手伝って、一松は館の従業員の中でも浮いた存在だったが、仕事ぶりはいたって真面目だった>