《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第20章 謎はあの色で終わる
<「動くな! 大人しくしろ!」
大人の男性の声が行内に響き渡る。
覚えているのは、カラ松兄さんが強盗を止めようと立ち上がったこと、兄さんを庇って僕が殴られそうになったこと。
そして、隣にいた小さくて可愛らしい女の子が大声をあげて助けてくれたこと。
女の子は、僕らと同い年か少し年下のように見えた。
幼い僕の目には、勇敢な彼女がまるで天使のように映った。
その後のことは、良く分からない。
実はあまり記憶がない。
SATが突入して僕らは助かったらしい。
その女の子が無事だったのかどうかも分からなかった。
病院で目覚めた僕たちに、大人たちは淡々と言った。
君たちのお母さんは亡くなったよ、と。
運命は意地悪だ。
人のあふれるプールに死神が適当に手を突っ込んでランダムに引き当てたのが、たまたま母さんだっただけ。
人間の命なんてそんなもんだ。
いつ引き当てられるかなんて分からない。
母さんは、たまたま運が悪かったんだ。
母さんを引いた死神は、僕らがどんなに悲しんだかなんて知ったこっちゃないんだろう。
銃弾戦に巻き込まれ、母さんが亡くなって、しばらく家は落ち着かなかった。
悲しみに暮れた父さんは、母さんのことを忘れようと仕事に打ち込むようになった。
自然と僕は父さんとあまり喋らなくなっていった>