《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第20章 謎はあの色で終わる
公園内を見回すと、犬の散歩をしている人たちが数組いる程度で、相変わらずガランとしている。
もう夕方だし、子供たちはみんな帰ったのだろう。
ここでニセ通り魔に会ったのは、たった1ヶ月前のことだ。
なのに、遥か昔の出来事のような気がする。
きっとあの日から今日まであまりに色々なことがあったからに違いない。
私は封筒を開け、中から文書を取り出した。
ペラペラとめくってみる。
手書きの原稿をコピーしたA4サイズの紙が数枚、右上はホッチキスで留められていた。
文字は確かに見覚えがある。
トド松先輩の字だ。
最初の数行を軽く読むと、どうやらトド松先輩の生い立ちが書いてあるようだった。
私はふうっと息を吐く。
文書を改めて初めから読み始めた。
<僕――松野トド松は、世間一般で言うところの『金持ち』の家に生まれた。
物心ついた時には、すでに大きな洋館に住み、たくさんのメイドたちに囲まれ、何不自由ない暮らしをしていた。
近所の人たちにも、『松野のお坊っちゃん』なんて呼ばれ、僕にとって、金持ちであることは、息をするようにごく当たり前のことだった。
松野財閥は昔から大きな力を持ち、松野一族は持株会社に多額の出資をすることで、財を成していた。
その中で、父さんは、株の保有や運用よりも、自分自身で事業を展開させる方に興味があったらしく、いくつかの会社を経営していた。
幸い父さんには経営の才があったらしい。
積極的に新しい事業にも手を出したが、どれも概ね成功を収めていた>