《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第20章 謎はあの色で終わる
「あの……それで……私に何の用が……」
言いかけた瞬間、神松記者を降ろした白いセダンが近くに停まり、運転席の窓が開いた。
「神松! 早くしろ! なぜ、そいつらに親切心を出す? 我々の記者としてのクソな部分を舐めてもらっちゃあ困る! なあ神松、己のクソさにもっと自信を持て!」
低く響く声。
姿はここからではよく見えないが、黒い影が動いている。
「ああ、ごめんね、悪松。でも、記者である前に人としての良い部分をこぼれ落としたくはないからね」
神松記者が答えると、悪松と呼ばれた黒い男は「ハッ! たわいない奴! 早くしろよ!」と呟き、顔を引っ込めた。
「今の方は……?」
私が尋ねると、神松記者は眉を下げた。
「記者仲間の悪松です。普段はライバルですが、今日はここまで乗せてきてもらったんですよ。彼は、声は最高にいいんですが、クソな部分が多いので、なかなか取材が進まない記者なんですよ」
「は、はぁ……確かにそんな感じに見えますね……」
と言うか、どう見ても記者に向いてなさそうだけど……。
神松記者は、封筒を私に差し出した。
「橋本さん、この手記の中には、あなたの名前が何度も出てきます。僕はこの手記を読んで思ったんです。掲載する前にあなたはぜひこの文書を読むべきだと」