《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第19章 最終決戦(※)
「警部はパスケースを普段持ち歩いていないんですか?」
疑問に思って尋ねると、チョロ松警部は頷いた。
「ああ、たまにしか使わないからパスケースは捜査一課のデスクの中に入れている。盗めるのはトド松くんかゆりくんだけだ。でも、ゆりくんは工場の事件が起こるまでカードの存在さえ知らなかった。トド松くんが一番怪しいだろう?」
確かに……。
まさかあの時のプロマイドで、犯人の目星がつくなんて……。
トド松先輩が肩を落とし、俯いた。
「ずっと疑われていたなんて、とんだピエロだな……」
チョロ松警部がコートのポケットから手錠を出す。
「トド松くん。警察官の君なら、この状況ではもう無理だと分かっているだろう? 署に同行してくれるね?」
「分かりました……」
トド松先輩は頷きながら、ちらりと落ちているナイフを見た。
「っ!」
まさかと思う間もなく、先輩はナイフに素早く手を伸ばす。
「ゆりくん!」
警部の叫びと同時に私はナイフに飛びついた。
「どけっ!」
トド松先輩と揉み合いになる。
私は無我夢中で掴んだナイフを警部のいる方へ投げた。
同時におそ松さんとカラ松さんが飛びかかり、先輩を押さえ込む。
「くそっ! くそっ! くそっ!」
もがきながら呻くトド松先輩。
危なかった……。
私は息を切らしながら立ち上がった。