《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第19章 最終決戦(※)
トド松先輩が警部を睨みつける。
「なぜ盗まれたと思うんです……?」
「確かにIDカードは、パスケースに入れっぱなしだったから、中身を抜かれても気付かない。事件当日も現場に駆けつけた時には、顔パスで入れたから、実はあの日はカードを使わなかったんだ。まさか盗まれているなんてその時は知らなかったよ」
「顔パス?」
私がチョロ松警部を見ると、彼は苦笑いをした。
「トド松くんが『緊急事態だから、もし謹慎中のチョロ松警部が来たらすぐに現場へ通してくれ』とイヤミさんにお願いしたらしい。その時はさすが気が利くなと思ったが、今思えばカードが盗まれていることを僕に気付かれないためだったんだ」
「じゃあ、なんで、盗まれていたことに気付いたんですか? こっそり返されていたなら、それこそ分からないはずでは……」
チョロ松警部が微笑んだ。
「ゆりくんのおかげさ」
「え? 私?」
何かしたっけ……?
私の顔を見て、警部はにやりとする。
「にゃーちゃんの限定プロマイドだよ」
「は……?」
全員がぽかんと警部を見た。
「僕はパスケースににゃーちゃんのプロマイドを入れていた。それが捜査一課のデスクの下に落ちていたんだ。ゆりくんが初めて洋館に捜査に行く日に見つけてくれた。でも、中身を出さない限り、落ちるはずはない。トド松くんがカードを出した時にプロマイドを落として気付かなかったんだ」