《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第19章 最終決戦(※)
先輩に銀行強盗の話をした時……。
あの時、トド松先輩は事件の犠牲者がいないか調べてくれた。
「先輩、なぜ、事件のデータベースを私に見せてくれたんですか……?」
トド松先輩の瞳が揺れる。
「ゆりちゃんに知って欲しかったんだ。僕たちが無事だったことを。そして、事件の裏で犠牲になった僕の母のことを」
「先輩……」
同じ思いで警察官を目指したなら、こんなことをしなくても進める道はいくらでもあったはずなのに……。
なんで?
どうして?
トド松先輩は、カラ松さんをちらりと見ると、また私に視線を戻した。
「カラ松兄さんはね、あの事件以来、君のことをずっと探していた」
そういえば、警察署の前で会った時にカラ松さん自身もそんなことを言っていた。
あの時はまともに取り合わなかったけど、今なら分かる。
カラ松さんは、本当に真剣に私を探してくれていたに違いない。
トド松先輩は続ける。
「あの事件が僕たちを変えた。ゆりちゃんは、僕にもカラ松兄さんにも大きな影響を与えたんだ。僕ら兄弟の心の中にはいつだってゆりちゃんの存在があった」
「…………」
私が次の言葉を返せずにいると、トド松先輩は、悲しげに息を吐いた。
まるで全てを諦めたような溜息。