《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第19章 最終決戦(※)
「ゆりちゃんっ! 何してるのっ!」
トド松先輩が向かってくる。
急いで右の足枷に取り掛かる。
手錠も足枷も、鍵で閉めるタイプではなくて助かった。
足枷が外れる。
あと一つ。
左。
トド松先輩が手を伸ばした瞬間、最後の足枷が音を立てて外れ、私は背負っていたベッドを勢い良く倒した。
派手な音と共にベッドは落ち、トド松先輩が後退る。
先輩が怯んだ隙に、私はナイフを奪おうと飛び付いた。
「くっ……!」
腕を掴むものの、先輩の力は強く奪えない。
「ナイフ! 渡して!」
先輩の右腕に必死に縋り付く。
ナイフを持つ手は上げられたままだ。
あつしさんの言葉が脳裏に蘇る。
『君は実技の成績が壊滅的に悪い』
ああ、私にもっと力があれば!
「離せ! ゆりちゃんっ!」
振り払おうと腕を振るトド松先輩。
「嫌ですっ! 絶対に!」
力がない。
技術がない。
才能がない。
経験がない。
向いていない。
……けど、警察官としての意地はある。
絶対に離さない。
「くそっ……!」
トド松先輩が震えながら、ナイフの先を下に向ける。
私に向かって振り下ろそうと、さらに力を込める。
「っ……」
私も両手でそれを止めながら、何とかナイフを奪おうとする。
瞬間、トド松先輩が足払いをした。
「あっ……!」
腕に集中していた私は、バランスを崩し、あっという間に仰向けに倒れる。
トド松先輩が私の上に乗った。