《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第19章 最終決戦(※)
体を引きずりながら、少しずつ視線の先に見えている拷問器具へと向かう。
トド松先輩が一松さんを罵る声。
まだ、気付かれていない。
ベッドの重みで床についた肘と膝に痛みが走る。
私はやっと目指していた器具に辿り着いた。
見上げる先にあるのは、中型のギロチン――器具自体は相当古そうだが、トド松先輩が磨いたと言っていた刃は鋭く光っている。
刃は下まで完全には下りていない。
ぎりぎり手を伸ばせば、届く位置で止まっていた。
私はベッドを背負ったまま、ギロチンの斬首台に腕を乗せ、体を起こす。
トド松先輩に目をやると、いつの間にか一松さんにナイフを向けていた。
一松さんが、先輩の肩越しにちらりと私を見る。
時間がない。
私は右腕を上げ、ギロチンの刃に手錠の鎖を当てた。
そのまま腕を前方に倒し、目一杯、鎖をピンと張る。
大きな音がするに違いない。
チャンスは1回だけだ。
「じゃあね、一松……。もう、お前を見なくて済むと思うと、せいせいするよ……」
トド松先輩がナイフを振り上げる。
今だ。
私は勢い良く腕を振った。
金属音と共に鎖がちぎれる。
「っ!?」
トド松先輩が振り返る。
私は自由になった右手で、すぐに左手首の手錠を外した。