《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第19章 最終決戦(※)
一松さんの息を呑む音。
「これ……庭に咲いていた薔薇か!? 咲いたばかりなのに……。お前、摘んだのか!?」
「だって、邪魔だったんだもん。色も嫌い」
「お前!」
こうなったら、鎖を何とか切るしかない。
私は、深呼吸をすると、足も手も繋がれたまま、できるだけ身を屈める。
腹に力を入れ、腹筋をするように体を勢い良く跳ねさせた。
……ベッドは動かない。
もう一度……。
私はまた同じ要領で、体を跳ねさせる。
ほんの少しベッドが動いた。
この調子だ。
何度も繰り返すと、そのたびに少しずつベッドは動き、10回目に力いっぱい跳ねた瞬間、勢い良くひっくり返った。
大きな音が地下室に響き渡り、トド松先輩と一松さんがハッとこちらを見る。
「も〜、ゆりちゃん、興奮しすぎだよ〜。ひっくり返っちゃったの? 直してあげようか?」
トド松先輩が私に向かってくる。
まずい。
「おい、トド松! ゆりのことが好きかもしれないけど、俺とのセックスの方が気持ちよかったって、言ってたぞ……。ヒヒッ、ご愁傷様。あんた、どんだけエッチ下手なの? 童貞?」
一松さんが挑発するように後ろから声をかける。
トド松先輩は立ち止まり、振り返った。
「は? 僕が下手? そんなわけないでしょ?」
明らかに気分を害したらしく、声には怒気が含まれていた。
トド松先輩はまた一松さんに向かう。
金属ベッドの下敷きになっていた私は、体を持ち上げるように何とか肘と膝を曲げた。
潰れそうに重い……。
ベッドを背負ったまま、渾身の力を入れ、床についた肘と膝を伸ばすと、少しだけ体が前に進んだ。