《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第19章 最終決戦(※)
トド松先輩は少し潤んだ目元を拭うと、冷たく私を見下ろした。
「ゆりちゃん、気付いたのは偉いよ。褒めてあげる。でもね、遅い。遅すぎるんだよ。僕たち、いつも一緒に仕事をしていたじゃないか。なのに、なんで洋館で会った時に僕だって気付かないの?」
「え……」
「目的を果たすためには気付かれたら困る。でも、その一方で少し期待してたんだ……。もしかしたら、ゆりちゃんなら気付いてくれるかなって……」
「先輩……」
トド松先輩の瞳が虚ろになる。
「でも、違った。君も幽霊の噂を信じるやつらと同じだね。服装、眉、声、喋り方、態度……。雰囲気を少し変えたら、僕をカラ松さんだと思い込んで、ゆりちゃんは全く疑いもしない」
「…………」
私は俯いた。
通り魔だけではなく、まさかカラ松さんまで本物と偽物の二人いたなんて、思いもしなかった。
トド松先輩は、自嘲気味に笑う。
「あははっ、あの時、ゆりちゃんが気付いてくれていたら、僕は引き返していたかもねっ」
「先輩……。一体、何回カラ松さんのフリをして、私の前に……」
「ん? 1回だけだよ。ゆりちゃんが初めて洋館に来た時だけ。まあ、警察署にカラ松さんが訪ねてきた時は、余計なことを喋られたらヤバイと思って影から見張っていたけどね」