《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第19章 最終決戦(※)
天井に目をやると、今日は電球がついている。
通り魔が地下室に入る時につけたに違いない。
私は静かに中に入った。
人の気配はない。
薄暗い明かりの下、大きな拷問器具の間をそろそろと奥へ向かって進む。
背の高い器具が並べられているせいで見通しは最悪だ。
もし、器具の影から急襲されたらひとたまりもない。
注意を払いながら、部屋の中程まで進んだ時、突然、後方からカタッと音がした。
「っ!」
振り向き、音の聞こえた方向を見つめる。
誰もいない。
ただ、拷問器具が並んでいるだけだ。
「…………」
もう一度よく目を凝らしてみると、器具の向こう側に紫色の布のようなものが見えた。
「一松さん!?」
慌てて駆け寄る。
円柱状の古い器具に一松さんが鎖で縛りつけられていた。
「一松さん! 大丈夫ですか?」
声をかけても、一松さんは目を瞑って俯いたまま答えない。
気を失っているようだが、見る限り怪我をしている様子はなかった。
少しホッとする。
とりあえず一松さんを下ろさないと……。
何かないかと辺りを見回してみる。
そういえば、壁際に色々な工具が置かれた棚があったはずだ。
鎖を切れるものもあるかもしれない。
壁に向かおうと、私は一松さんに背を向けた。
瞬間、後ろから手が伸びてきて、口を塞がれた。