《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第19章 最終決戦(※)
***
洋館に着くと、私はすぐに車を飛び出した。
「ゆりちゃん!? ちょっと待てって!」
おそ松さんも慌てて車から降りて、追いかけてくる。
手入れの行き届いた庭を一直線に抜け、洋館の玄関に辿り着く。
扉に手をかけ、私はふと、おそ松さんを振り返った。
「おそ松さん、この間、一緒にこの洋館に来た時に、庭の話をしたのを覚えていますか?」
「庭? ああ、きれいになってるって話?」
おそ松さんが息を整えながら、後ろの庭を見回した。
「その時は気付かなかったんですけど、荒れ放題だったこの庭をきれいにしたのは一松さんだと思うんです。元々、この洋館の庭師でしたし」
「でも、一松さんは庭師の仕事は退職したんだろ? 辞めた職場の庭をわざわざ整えに来るなんて随分と物好きじゃね?」
「それはそうなんですけど……」
一つ一つ丁寧に手入れされた庭。
そこにはただ賃金を貰ってやるだけの仕事の範疇を越えて、どの部分にも心が込められていた。
「つまり、俺たちが洋館に来たあの日よりも前に、一松さんが庭の手入れをしに来たってこと?」