《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第19章 最終決戦(※)
一松さんがいるとしたら、やっぱりあの場所しかない。
ブラック工場を飛び出す。
次の瞬間、目の前に赤い車が滑り込んで来た。
驚いて立ち止まると、運転席の窓が下がり、男が顔を出す。
「ゆりちゃ〜ん、乗りなよ〜」
「え!? おそ松さん!?」
車に乗っていたのは、なごみ探偵のおそ松さんだった。
「足があった方がいいっしょ? トド松くんに頼まれて来ちゃったよぉ」
鼻の下を得意気に擦る。
「トド松先輩が?」
「チョロさんのことで警視庁に呼び出されたみたいで、すぐには来れないってさ。んで、トド松くんから俺に連絡が来たの。『ゆりちゃんが心配だから、ついていってくれ』って」
さすがトド松先輩。
どこまでも気が利く。
「ありがとうございます。おそ松さんって、車の運転できたんですね」
私は助手席に乗り込んだ。
「そりゃ、できるよ」
「じゃあ、いつも車で現場に来ればいいのに」
「車じゃつまんないだろ? 名探偵は劇的な登場が求められるの!」
私は首を捻った。
「そうかな……車で颯爽と現れる探偵ってカッコイイと思うけどなぁ」
「マジで? 車での登場って、カッコイイの?」
おそ松さんがゴクリと喉を鳴らす。
「少なくともハンググライダーや戦車よりはカッコイイと思いますよ」
私の言葉におそ松さんはあんぐりと口を開けた。
「マジか……」
「それより、早く出発しましょう? 時間ないんです!」
おそ松さんはハイハイと呟きながら車を発進させた。
「んで? 行き先は?」
おそ松さんの問いかけに私はきっぱりと返す。
「洋館です。カラ松さんの洋館に行って下さい! できるだけ早く!」
「おっけ〜」
おそ松さんは、アクセルをぐっと踏み込んだ。