《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第19章 最終決戦(※)
「あつしさん、あの……」
『ああ、失礼。もう<新人>ではなかったね。健闘を祈るよ。まぁ、今の君なら心配は要らないだろうけどね。じゃ』
あつしさんはサラリと言うと、すぐに電話を切った。
相変わらず無駄のない人だ。
私はスマホを見つめ、一人頷く。
よし、これでとりあえずチョロ松警部がすぐに逮捕される心配はなくなった。
そろそろ一松さんのところに行かないと。
時計に目をやると、時刻は6時。
私は、タクシーを呼ぶと行き先を告げ、車中でトド松先輩にメッセージを送った。
ブラック工場に着くと、すぐにイヤミマネージャーに取り次いで貰う。
朝早くから一松さんを訪ねて来た私を見て、イヤミさんは眉を寄せた。
「一松なら、いないザンスよ」
「え?」
「寮の部屋にもいないし、困ってるザンスよ!」
一松さんがいない?
もう遅かった?
もしかして、すでに真犯人が一松さんを……。
慌てて走り出す。
「聞くだけ聞いてお礼も言わないザンスか!? これだから近頃の若い子は嫌ザンスよ!」
イヤミさんの叫ぶ声が聞こえたが、私は振り返らなかった。