《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第19章 最終決戦(※)
「チョロ松警部のことでお話があるんです」
私の言葉にあつしさんは、『ああ』と声を漏らした。
『チョロ松くんか。起訴が決まったって聞いたね』
「はい。それで、もうすぐ報告が来ると思いますが、チョロ松警部は深夜に脱走しました」
『……は?』
予想通りの反応。
私ははっきりと音を区切りながらもう一度繰り返した。
「ですから、昨晩、チョロ松警部は、脱走、したんです」
『はあっ!? なぜ!?』
ようやく意味を理解したらしく、素っ頓狂な声を出すあつしさん。
彼でも驚くことってあるんだなと、私は新鮮な気持ちになった。
「あつしさん、チョロ松警部は犯人ではありません。真犯人がいます。それでお願いがあるんです。今日中に私が犯人を捕まえるので、チョロ松警部を捕まえるのを遅らせて頂けませんか? あと、できればマスコミも何とか……」
あつしさんは押し黙った。
電話口の向こうで今どんな顔をしてるのだろう。
微かな呼吸音だけが受話器から聞こえる。
怒っている? 呆れている? それとも……。
沈黙に耐えきれず、何か言おうとしたその時、あつしさんは急に笑いだした。
『なるほどね。所轄の君一人のお願いで警察全体を動かしたうえ、マスコミにも圧力をかけろ、と僕に言うんだね? しかも、警察だけじゃない、検察も巻き込むことになる。いざとなったら責任は全部この僕に覆い被さるわけなんだけど?』