《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第19章 最終決戦(※)
緊張しながら、通話ボタンを押す。
数回のコールの後、相手が電話に出た。
『もしもし?』
特に不機嫌そうでもなく、ごく普通の落ち着いた声。
私は息を吐き、思い切って声を出した。
「あのっ、朝早くにすみません! 私……」
言い終わる前に、あつしさんがフフッと笑う。
『えーっと、ゴメン。どの子かな? 今週はどの夜も先約があるんだ。来週ならまだ空きがあるよ。赤塚ホテルはどの日も押さえてあるけどね』
「えっと、すみません。あの、そうじゃなくて……」
『ああ、ごめんごめん。愛人の誰かかと思ったんだ。違うということは、愛人候補の子だね? ちょうどいい。月曜日担当の女の子と別れてしまったところなんだよ。来週以降の月曜日の夜をお願いできるかな?』
私は驚きのあまり、一瞬、返す言葉を忘れてしまった。
あつしさんの愛人って、曜日交代制なの……?
というか、一体、何人の愛人と愛人候補がいるんだろう。
「あ、あの、違うんです! 大事な話があって。私、赤塚署の橋本ゆりです」
しばらく間が空く。
私は緊張のあまりごくりと唾を飲み込んだ。
『ああ……あの新人のお嬢さんか。この番号は愛人と愛人候補専用の番号なんだ。てっきり、夜のお誘いかと思ったのに……なんだ、違うのか。どうしたんだ?』
あつしさんは特に怒る様子もなく、落ち着いた口調で返す。