《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第19章 最終決戦(※)
窓から差し込む光が、日の出を告げる。
私は、スーツジャケットを羽織ると、鏡の中の自分を見つめた。
昨晩、鏡の前で、愛する人も分からず、だらしなく微笑みながら、想像の中の男たちに抱かれていた女。
今、鏡に映っている私は、同じ人物とは思えないほど、強い決意に満ちた顔をしていた。
『君が一松さんを守るんだ』
チョロ松警部の言葉が蘇る。
「……よし」
私は鏡の中の自分に向かって頷いた。
事はもう動き始めている。
後戻りはできない。
やれるかどうか、じゃない。
やらなくてはいけない。
そう、何が何でも真犯人――仮面の通り魔を捕まえる。
チョロ松警部が見つかってしまう前に。
そこまで考え、私はふとあることを思い出した。
「そういえば……」
部屋の隅に置いてある鞄を取り、中を探る。
確かここに入れたはず……。
ガサガサと弄ると、目的の物は鞄の一番底から出てきた。
私は小さく折り畳まれたあつしさんの名刺を引っ張り出し、広げて眺める。
「捨てないでよかった……」
まさかこれを使う日が来るとは。
時計に目をやる。
5時40分。
電話をするには、さすがに非常識な時間だ。
でも、あつしさんなら起きているかもしれない。
ただの勘だけど、デキるあの人ならもうこの時間には身支度を整え、余裕でコーヒーを飲みながら新聞を読んでいるに違いない。
それかベッドに豪華な朝食を運び、眠っている愛人を揺り起こしている最中かもしれない。
私はスマホを充電器から外すと、名刺を見ながら電話番号を入力した。