《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第18章 真実は語られる
「挑発?」
チョロ松警部は自信たっぷりに笑う。
「工場の殺人で使われた鉈と金槌を、ニセ通り魔として使った――つまり、『僕は君が隠していた鉈と金槌を見つけたぞ? しかも、工場の殺人と通り魔事件が繋がっていることに気付いているんだぞ?』という真犯人へのメッセージなんだよ」
なるほど……。
私は考えを巡らす。
「これって、通り魔本人にしか分からないメッセージですよね? ニセ通り魔がいると知っているのは、警部と真犯人だけだから……」
「そうだよ。ゆりくんが公園で襲われた事件は、次の日の午前中にはニュースで報道されていた。真犯人はニュースを見て、隠してあった凶器が盗まれたことに気付いたに違いない。おまけに盗んだ奴に偽物の通り魔を騙られてしまった。内心焦っただろうね。ただ、これだけではまだ不充分なんだ」
「不充分?」
「僕が通り魔として逮捕され、それが報道されなくては、犯人は動かない」
私は首を捻る。
「どうしてですか?」
「じゃあ、犯人の立場になって考えてみよう」
警部はまたメモに何かを書き始めた。
私も覗き込む。