《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第18章 真実は語られる
「そんな……」
チョロ松警部の言うことが正しいなら、犯人は一松さんにかなり強い恨みを持っている。
捜査線上にそんな人物いたっけ?
「思い出すんだ、ゆりくん。犯人は今まで最低限の殺ししかしていない。殺されたのは、唯一、デカパン所長だけだ。通り魔事件の被害者は、みな軽い怪我で済んでいる」
確かにチョロ松警部の言う通りだ。
通り魔は、チェーンソーで人を襲っているが、みんな追いかけられて転んだりした程度。
よく考えたら、通り魔は相手を物理的に傷つけてはいない。
警部は続ける。
「つまり、ヤツは別に殺人をしたいわけじゃない。犯行は、どれも一松さんを陥れるための手段に過ぎないんだ」
「一松さんを犯人に仕立てあげたいのに、チョロ松警部が犯人として捕まってしまったから、通り魔には都合が悪い、ということですね?」
チョロ松警部は、私の頭を優しく撫でた。
「そうだ。ここまでは分かったね。さて、じゃあ、どうして、僕が自分を逮捕させようと考えたか、経緯を話そう。あれは、8月の中頃だったかな。ある日、捜査を進める中で、僕は思いがけない場所から鉈と金槌を押収したんだ」