第18章 真実は語られる

「いいかい、ゆりくん。仮面の通り魔は非常に狡猾だ。なかなかしっぽを出さない。だから、僕はヤツを炙り出すために、自分がニセ通り魔を演じて逮捕されようと考えた」


「…………」


「そのためには、君かトド松くんに僕を逮捕してもらう必要がある。そこで、おそ松くんに頼んで君たち二人のどちらかが、僕を犯人だと推理するようにうまく仕向けてもらった」


「っ！」


「まあ、正直、ゆりくんが推理するとは思っていなかったが……。トド松くんはドライで冷静だから、簡単に誘導に引っかからなかったんだろうね」
　

私は呆然とチョロ松警部を見つめた。

おそ松さんに誘導されていたのは、予想がついていた。
でも、まさかあの日の推理と逮捕劇が、チョロ松警部自身によって仕組まれたシナリオだったなんて……。


「もしかして、首の怪我を隠したのもわざとですか……？」

チョロ松警部が頷く。

「もちろん、わざとだよ。まさか十四松くんに飛び蹴りを食らうとはね。怪我をしたのは想定外だったが、せっかくなら利用しようと思ったんだ。どうだった？　いかにも不自然に首を隠す演技が出来ていただろう？」


意気揚々と『あれはキスマークじゃありません！　飛び蹴りされてできた怪我を隠しましたね！　犯人はチョロ松警部、あなたです！』なんて、ミステリードラマみたいに推理をキメたことを思い出す。


私ってばあんな偉そうに推理を……恥ずかしい……。