《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第17章 淡い緑に癒やされて(※チョロ松)
「これでも刑事になって長いんだ。内部のことはそれなりに分かってるし、知り合いも多い。まあ、何人かに協力してもらった」
「協力?」
チョロ松警部は穏やかに笑う。
「僕は普段から情けなくて間抜けな人間だと思われているからね。そういう人間は敵が少ないし、イザという時も好意的に思ってもらえるんだよ。ほら、服もこっそり返してもらった」
警部はトレンチコートと帽子を指差した。
「普段から思われてるって……警部、自分で分かってたんですか?」
「僕もいい大人だからね。そこまで馬鹿じゃないよ。だからって、僕は僕のまま変わるつもりもないけどね」
私は呆然とチョロ松警部を見つめた。
アイドルを追いかけて、女の子に弱くて、ライジングしては人に呆れられ、部下には冷たくあしらわれ。
どうしようもない人なのに、なぜか憎めなくてみんなに愛されていたチョロ松警部。
でも、警部は元々刑事としては優秀な人だ。
自分への評価もちゃんと分かっていたのだ。
「警部、そんなこと言って、もし逃げたのが見つかったら罪が余計重くなりますよ……?」
「分かってるよ。でも、それどころじゃなくてね。君とトド松くんに大切な話がある。ああ、通報はしないでね。するにしても、僕の話を聞いてからにして欲しい」