《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第16章 赤い淫魔の調教(※おそ松)
「おい、何があった?」
おそ松さんの声がすぐ近くから聞こえた。
「いきなり後ろから襲われて、さっきの布を取られました」
「は? マジで? 地下室に入ってきたってこと?」
「鐘の音がうるさかったから、階段を降りてくる音やすぐ近くまで来ていたことに二人とも気付かなかったんだと思います……」
15時になり、時計の鐘が鳴り響いたタイミングで、相手は音に紛れて階段を降り、地下室に入ったに違いない。
鐘が鳴り止んだ瞬間、照明を落とし、私から素早く布を奪ったんだろう。
「ということは、よっぽど重要な証拠だったんだな。こんなことしてまで、奪いに来るなんて」
おそ松さんが暗闇の中で動く音がする。
「そうですね……迂闊でした。あの、とりあえず照明つけません? ここらへんにたぶん懐中電灯が転がっているはずなんですけど」
しゃがみ込んで床に手を滑らせる。
「俺も探すよ」
おそ松さんがしゃがむ気配がした。
私たちは床を探ったが、懐中電灯はどこに転がったのか全く見つからない。
「おかしいな……」
さらに場所を変えて、床を触る。
手の先に何かが当たった。
「あ……」
おそ松さんの声。
「あ! すみません!」
手を引っ込めようとすると、腕を強く掴まれた。