《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第16章 赤い淫魔の調教(※おそ松)
「っ!?」
誰? おそ松さん?
抵抗するも相手は私を強く押さえ、胸元に手を這わせる。
「ん! んん〜〜!」
声を絞り出すと、前方から「ゆりちゃん、どした?」とおそ松さんの声が聞こえた。
おそ松さんじゃない?
じゃあ、誰なの?
相手は、私のジャケットの中に手を入れる。
「んんんっ!」
体を捩って必死に振り払おうとすると、ジャケットの内ポケットから何かを掠め取られた。
乱暴に体を押され、私は床に倒れ込む。
「お、おい! 何の音だよ! ゆりちゃん? 大丈夫か?」
状況を把握できないおそ松さんが焦ったように声を出す。
相手は私から離れ、走り出した。
「おそ松さん! 早く! 追って!」
慌てて叫ぶと、おそ松さんがオロオロしながら動き出す気配。
「え? いや、でも、全く見えない……どっちだ?」
私は体を起こした。
階段を駆け上っていく足音。
上に辿り着いたらしく、ドアが閉まりカチリと鍵がかかる音がする。
あまりにもあっと言う間の出来事だった。
「え? なんだ? おい? 誰かいたのか? 大丈夫か?」
おそ松さんの声が近づいてくる。
私は内ポケットに手を入れた。
「やられた……」
血の付いた布を入れたビニル袋がない。