《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第15章 名探偵はヒミツに触れる
それにしても、こんなところに閉じ込められるなんて、気が重い……。
私は前を歩くおそ松さんの背中を眺めた。
まあ、一人じゃなくてよかった。
おそ松さんといると、なぜか安心な気がするし。
「おそ松さんって、結構冷静なんですね」
声をかけると、おそ松さんは振り返らずに返す。
「ゆりちゃんが刑事の割にパニクりすぎなんだよ」
「う……」
痛いところをついてくる。
私が黙り込むと、おそ松さんは足を止め、振り向いた。
「ま、でも、それでいいんじゃね?」
「え?」
「若いうちから冷静沈着な女なんて、可愛げないしさ」
「でも……」
おそ松さんは私を真っ直ぐに見つめた。
「ゆりちゃんさぁ、もしかして、『自分は刑事に向いてない』とか考えてる?」
「っ!」
図星だった。
チームに配属されて以来、その不安は現在進行形で日々大きくなっている。
「初めから向いてるやつのほうが少ないだろ」
おそ松さんがサラリと言う。
「えっ……」
「『いつか自分はできる』って信じて続けられるやつが、結局向いてんだよ」
「…………」
「新人が最初から『ベテランと同じようにできるようになりたい』だなんて思うのは、図々しいだろ。『向いてない』とグチグチ悩むのは、甘えなんだよ」