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《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)

第15章 名探偵はヒミツに触れる


「…………」

耳が痛い。

「そんなん悩む暇あったら、一個でも多く捜査して、できることを増やしていけばいいんじゃね? 経験が物言う世界なんだからさ」

そこまで言うとおそ松さんは私に笑いかけた。
口調は厳しかったが、目には穏やかな光が灯っていた。

思わず鼓動が跳ねる。

そういえば、そんな風に考えたことはなかったな……。

おそ松さんがまたニヤニヤし出す。
「あっ、それかそんな暇があるなら俺とセッ」「暇じゃないです」

私は即答すると、おそ松さんを残してさっさと階段を下りた。

かっこいいなと思ったのに、また、今ので全部台無しだよ……。

おそ松さんが追いかけてくる。
「ゆりちゃ〜ん! 何そのつれない感じ? 今、絶対、俺にトキメいてたでしょ?」

「トキメいてないです」

「君はもう惚れているっ!」

「惚れてないです」

追いついたおそ松さんが顔を覗き込んできた。 
「でも、和んだでしょ?」

「なっ……! 和んでなんかいないですっ!」

ああ、もうこの人には敵わないや。

でも、警察官になってから、ずっと悩んでいた私には、おそ松さんの言葉はすごく身に沁みた。

経験を積んでいけば、いつか、私もトド松先輩や十四松さんみたいな警察官になれるのかな……?

「ゆりちゃん! 和んだんでしょ? なあなあ!」

「あーもうっ! しつこいですってば!」

私たちは延々と言い合いながら、地下室へと下りて行った――。


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