《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第15章 名探偵はヒミツに触れる
何と表現していいのか分からない。
「うーん? そんなにブサイクなやつだったの?」
おそ松さんが呑気に尋ねる。
「違います! そうじゃなくて! 顔がなかったんですよ!」
私は勢い良く言い返した。
「は?」
「あ、いえ、顔はあったんですけど、顔のパーツがなかったと言うか、穴が空いていたんです!」
おそ松さんは意味が分からなかったのか、きょとんとする。
「穴?」
「目も鼻も口も穴が空いていたんです。マスクか何かを被っていたのかもしれないですけど」
「…………」
「おそ松さん、今まで何度か警察に通報があったんです。『洋館に幽霊が出る』って。もしかして、今日会った通り魔が幽霊の正体だったんじゃないでしょうか? 通り魔のあの姿をたまたま見た人が幽霊だと思って通報したのかなって」
おそ松さんは足枷に目をやった。
「『たまたま見た』ねぇ……。どっちかって言うと、通り魔がわざと見せたんだと思うけど?」
「え?」
おそ松さんはしゃがみ込むと壊れた足枷を手に取る。
「だって、この館、凶器のチェーンソーは隠してあるわ、誰かを監禁してるわ、ヤバイことだらけじゃん。通り魔にしてみれば、隠しているのをうっかり誰かに見つけられでもしたら困るだろ? 幽霊が出るって噂でも流して、館に人を寄り付かなくさせるのが都合いいと思わねぇ?」