《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第15章 名探偵はヒミツに触れる
私はジャケットの内ポケットから手袋を出してつけると、布を拾い上げてみた。
血を拭いたあとのタオルのようだ。
「色が変化しているのでつい最近のものではないですけど、そんなに古くもないです」
おそ松さんが頷く。
「誰かがここで生活していたみたいだな。ほら」
おそ松さんが指し示した先には、食べ物や菓子の袋、ペットボトルなどが大量に散乱していた。
私はパンの袋を拾って、製造日を確認する。
「20日前のものですね……」
そのすぐ近くには床と壁に鎖で繋がれた足枷と手錠があった。
両方とも無理矢理こじ開けられたのか壊れている。
血が付着していた。
「おそ松さん……これって一体……?」
おそ松さんは、顎に手をやり唸った。
「『誰かが生活していた』と言うよりは、『誰かが監禁されていた』と言う方が正しいのかもな……」
「監禁!? 誰が……?」
おそ松さんは私を見た。
「なぁ、ゆりちゃん、さっきのやつの顔は見えたの?」
「見えたんですけど……」
私は俯いた。
あのぽっかり空いた穴の目を思い出すだけでぞっとする。
「ん? どした?」
「ジェイソンの仮面をつけていたから、通り魔だと思ったんですけど、ただ……」
「ただ?」
「仮面を取ったら、顔が……」