《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第15章 名探偵はヒミツに触れる
「アピール……」
私は暗幕を見つめながら、トド松先輩や十四松さんと話したことを思い出した。
『一松さんが疑われるように毎回誰かが仕向けているような気がする』
確か十四松さんはそう言っていた。
通り魔が暗幕を投げたのも、『一松さんが犯人だ』とでも言いたいんだろうか?
こんなわざとらしい方法で?
おそ松さんがまるで私の頭の中を見透かしたように口を開いた。
「あのさ、刷り込みって怖いもんでさ〜。どんなにわざとらしくても、何度も何度も『この人が犯人ですよ〜』て言われ続けりゃ、人間だんだん、そう思えてくるもんなんだよな〜。だから、通り魔のアピールも案外、馬鹿にできないぜ?」
「…………」
「でも実際ブラック工場の中にある暗幕を持ってきたんだから、工場に何か関係ある人間なんだろうけどな……。ま、考えても今は分かんねぇよ」
「でも……」
「そんな不安そうな顔するなって。大丈夫、犯人はこの世のどこかにいるんだから。そのうち、捕まえられるだろ。それより、下に降りれたんだし、さっさと地下室調べようぜ?」
おそ松さんは懐中電灯を拾う。
階段の一番下まで転げ落ちた私たちの目の前には、地下室に続く木製の扉があった。