《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第15章 名探偵はヒミツに触れる
私はその唇を手で押さえる。
「おそ松さん! それより、さっきの人を早く追わないと!」
途端におそ松さんがむくれた。
「え〜、何だよ。いい感じだったのに! 追うなんて無理無理。俺たちが落ちる時、階段駆け上ってくのがちらっと見えたから。もうとっくに逃げちゃってると思うよ」
「そんな……」
私がおそ松さんの上から降りようとすると、手が伸びてきて力強く引き止められる。
「まあまあ、待てって」
「え、でも……」
「いいじゃん。ゆっくりしてきなよ」
ゆっくりしていきなって、家じゃないんだから……。
「あの、降りたいんですけど……私、重いし……」
おそ松さんがニヤニヤ笑う。
「重くない重くない。ゆりちゃん、細いし小さいから。そんなの気にしてんの? かーわいっ!」
「…………」
おそ松さんが私の体に腕を回し、ぐっと引き寄せる。
必然的に私はおそ松さんにのしかかる格好となってしまった。
「なぁ、俺のこと、嫌い……?」
おそ松さんの手が私の頭を優しく撫でる。
「嫌いじゃないけど……」
言い淀むと、おそ松さんは笑う。
「好きでもない、ってか? 辛辣ぅ〜!」