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《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)

第14章 顔のない足音


「はぁっ!?」

おそ松さんが立ち止まって、私を振り向く。

私も止まった。

もうひとつの足音が1回だけカツンと響き、私たちが止まったことに気づいたのか、ピタリと止んだ。

私たちの後ろに誰かいる……?

階段の入り口を見上げる。
真っ暗で何も見えない。

私たちが見上げているように、向こうも暗闇の中で息を潜めてこちらを見ているんだろうか。

私とおそ松さんはゴクリと唾を飲み込んだ。


おそ松さんが黙って前を向き、すぐにまた階段を下り始めた。

私も何も言わずにそれに従う。

私たちが動き始めたとほぼ同時にもうひとつの足音もまた動き出した。


ゆっくりと、規則正しく、一定の距離を保ちながら……。


私たちのペースに合わせ、後ろから少し離れて足音が付いてくる。


誰?

誰が付いてきてるの?

嫌な汗が額から流れてくる。


少し下りたところで、おそ松さんが急に止まった。

私も止まる。

3人目の足音も私たちに合わせてすぐに止まった。

おそ松さんも私もたまらず振り向く。

そこにはやはり暗闇が広がっているだけだった。

ゾクリと寒気が走る。

「お、おそ松さん! どうすれば……」

おそ松さんは青ざめながら暗がりをじっと見つめている。
目がそこから離せないと言った感じだ。

「ゆりちゃん……」

おそ松さんが言った瞬間、足音が動き出し、すごい速さで私たちに向かって駆け下りてきた。

「っ! ゆりちゃん! 走れ!」

おそ松さんが叫び、階段を駆け下りる。

私も走り出した。


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