《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第14章 顔のない足音
「下に行ってみるか……」
おそ松さんの声に、私は頷くと、持ってきていた懐中電灯を出した。
おそ松さんがそれを受け取り、先に階段を下り始める。
私も後から続く。
石でできた狭い階段は角度がかなり急だった。
幸い階段の周りは同じ石でできた壁に囲まれていたため、壁に手をつきながら下りることができる。
真っ暗な上に空気は湿っぽくひんやりとしていて、不気味な雰囲気が漂っていた。
正直、あまり居心地のいい場所ではない。
一段一段下りるたびに、私たちの足音が大きく反響した。
「にしても、長い階段だな……どんだけ深い所に地下室作ってんだよ……」
おそ松さんが誰に言うわけでもなく呟く。
私たちは、足下を照らしながら、慎重に階段を下りていった。
数分経ってから、私は前を行くおそ松さんの服を引っ張った。
「おそ松さん……」
「あ? 何? ゆりちゃん?」
おそ松さんは振り返らずに答える。
「あの、ちょっと、気になることが……」
「うん。だから何?」
歩みを止めずおそ松さんが返す。
「あの……私たちの足音……」
「足音?」
たぶん、気のせいじゃないよね……?
私は息を吐いて、思っていることを口に出した。
「3人分の足音が聞こえませんか?」