《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第14章 顔のない足音
「あの、おそ松さん。カラ松さんは、チェーンソーがここに隠されていることを知っているんでしょうか?」
「どうだろうな……。まあ、今住んでないなら知らない間に通り魔が入り込んで隠したとも考えられるし、もしくは……」
おそ松さんが次の言葉を言い淀む。
言いたいことは分かる。
「もしくは、カラ松さんが仮面の通り魔かもしれない……」
私が代わりに言うと、おそ松さんは頷いて、さらに穴の奥まで頭を突っ込んだ。
「あっ」
「おそ松さん、どうしたんですか?」
「ゆりちゃん、こんなのあったけど」
おそ松さんは体を起こすと、錆びついた銀色の鍵を目の前で揺らしてみせた。
「鍵? なんでこんな穴の中に……」
おそ松さんが立ち上がった。
「なぁ、さっき、一つだけ開かないドアがあったよな?」
私たちはすぐに階段横にある扉に戻った。
おそ松さんが緊張の面持ちで、鍵をそっと差し込んで回す。
カチリと小さな音がしてドアは開いた。
中を覗き込むと、目に飛び込んできたのは、地下に向かって伸びる階段だった。
どうやら部屋ではなく、地下室の入り口だったようだ。
照明はなく真っ暗で、階段の先がどうなっているかまでは見えなかった。