《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第14章 顔のない足音
「違いますっっ!」
大声を出すと、おそ松さんが少しビクッとした。
「も〜ゆりちゃん、そんな怒んないでよ〜」
「別に怒ってないし!」
「あんまカリカリすると動画に撮って、シェーチューブやホエホエ動画に配信しちゃうよ〜?」
おそ松さんがスマホを構えた。
「ちょ、ちょっと!」
「タイトル『美人女刑事を怒らせてみた』」
「なっ!? もう〜……仕方ないな……」
私は少し笑いながら溜息をついた。
おそ松さんといると、いつも調子が狂ってしまう。
「ん〜? ゆりちゃん、今、和んじゃった?」
すかさずおそ松さんが私の顔を覗き込む。
「ハッ! そういえばこの和やかな感じ……! って、このくだりはもういいよ! キリがないから早く行きましょう!」
途端におそ松さんが涙ぐみ始めた。
「ゆりちゃん、成長したね〜! ノリツッコミまでできるようになって……。お兄ちゃん嬉しいよ。え〜っと、『ゆりがノリツッコミできるようなった。拡散希望』……」
おそ松さんがスマホで呟き始める。
「ちょっ! 何やってるんですか! 拡散しなくていいから! ほら、もう、行きますよ!」
私はおそ松さんからスマホを取り上げると、ヒジ鉄を食らわせて粉々に画面を割り、歩き出した。
「ゆりちゃん……俺のスマホ……」
「おそ松さん、前回来た時は、1階を調べる前にカラ松さんに睡眠薬を飲まされて眠ってしまったんです。だから、今日はまず1階の部屋から調べましょう」
「お、おう……。って、俺のスマホのことはスルー!?」